2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧
「夜市」 恒川光太郎著 角川書店刊 を読む。 角川ホラー大賞受賞作。 一読して、この人の感覚は、何だか自分ととても近い感じがした。 表題作の「夜市」は、完成度の高い作品。なかなか面白い。 だが、僕の好きなのは、寧ろ同時収録されている「風の古道」の…
「漂流教室」 梅図かずお著 少年サンデーコミックス 全11巻 小学館刊 を読む。 天文古玩の玉青さんに勧めていただいた本。云うまでもなく、余りにも有名な漫画。いや、さすがに今だに読み継がれているだけあって、単に面白いだけではなくて、様々な要素を読…
「花影」 大岡昇平著 新潮文庫 新潮社刊 を読む。 去年、長い電車の旅の最中に妻が読んで、面白いから読んでみたらと言っていた小説。 現実感を欠いていて、しかもそれに本人が気付いていない、葉子という女性の死を描いた作品で、ストーリーそのものはメロ…
目覚めは穏やかで、澄みきったような心地がした。辺りは明るく、しんとして、音がなかった。ツァーヴェはじっとしたまま、天井を眺めた。そして少し経ってから、ようやくそこが自分の家であることに気付いた。何年も眠っていたかのような気分だった。小さく…
kaneさんと運営している姉妹サイト「Sigsand Manuscript」に、明治時代に翻訳されたウィリアム・ホープ・ホジスンの小説の復刻を始めました。タイトルは「絶海に生き残つた親子三人」で、これはホジスンの「From the Tideless Sea」の翻訳です。当然、当時は…
「クラバート」 オトフリート・プロイスラー著 中村 浩三 訳 偕成社刊 を読む。 最近は、図書館へ行ったついでに、娘に読ませる本を一冊借りてくることが多い。 昔読んで面白かった本もあるが、それ以上に、自分も読みたいか、あるいはいつかは読もうと思い…
漫画家の鴨沢祐仁さんが亡くなったという記事を、由里葉さんの***ephemeraで読んで、驚いた。それでいろいろと調べて鴨沢さんのブログに辿り着き、遡って読むうちに、そこに記されていた言葉が頭にこびりついて、離れなくなってしまった。それが昨日の夜のこ…
小金井公園内にある、「江戸東京たてもの園」へ行く。 先日の散歩会でも、個人的に候補地として挙げた場所だったのだが、それは僕が久々にちょっと行きたかったからである。僕は古い建物を見るのが結構好きなのだ。建築方面の仕事に進めばよかったかもしれな…
「そろそろ登れカタツムリ」 A&B.ストルガツキイ著 深見弾訳 群像社刊 を読了? 正直、よくわからない作品。難解というより、こちらに基本的な知識が欠けている感じ。多分、風刺的な作品なのだろうけれど、何を風刺しているのか分からなければ、よく理解でき…
B級の話ついでに。 先日貸し本屋の話を書いたが、この店はずっと昔からあるのは知っていたものの、比較的最近まで入ったことがなかった。ところが、ふらりと入って見て、すぐに会員になったのは、棚に並んでいた一冊の本が目に入ったからだ。 その本とは 「…
「SF奇書天外」 北原尚彦著 東京創元社刊 をぱらぱらと読む。 タイトルの通り、変なSF本を集めた本。紹介されている本の中には、幾つか知っているものもあるが、大半は全く知らない本。知るわけがない。そんな本ばかりが紹介されている。 しかし、こうした本…
先日、ちょっと稲垣足穂の話をしたせいか、久々に読んでみようかと思い、「弥勒」を手にした。 稲垣足穂の本は、結構持ってはいるのだが、実はあまりちゃんと読んでいるとは言い難い。同じ事ばかり書いてあるので、飽きてくるのかもしれない。稲垣足穂という…
鬼灯の木がある。たわわに鬼灯の実が成っているから鬼灯の木だとわかる。だが普通の鬼灯の木ではない。大きさがまるで違う。鬼灯の木というより、むしろ銀杏の木に見える。それくらい大きな木である。そしてその枝には、数え切れないほどたわわに、オレンジ…
今日は、ウェブ上で知り合った方々と、散歩会に出かけた。 メンバーは、初めてお会いする天文古玩の玉青さんと、我楽多倶楽部のTOKOさん。それからホジスン仲間のkaneさん、Jules Verne Pageのsynaさん、NEW ATLANTISの由里葉さん、TOPOTOPOTのれいこさん、…
最近、帰り道にある小さな貸し本屋さんに、時々だけれども立ち寄って、漫画を借りてくることがある。 ひっそりとある貸本屋さんで、場所は内緒にしておきたい。 いわゆる貸本時代の本まではないけれども、比較的古くからある貸し本屋さんらしく、古書店に並…
「完訳 緋文字」 ナサニエル・ホーソーン著 八木敏雄訳 岩波文庫 岩波書店刊 を読む。 以前から一度は読んでおかなければと思っていた小説をようやく読む。 ゴシック小説の流れを汲む、アメリカ文学の原型の一冊で、最重要小説のひとつ。 そういう知識があっ…
井の頭公園の舞台前には、大抵いつも、ブルースギターを掻き鳴らして熱いブルースを歌い上げているおじいさん(年齢は、わからないけれど、65歳以上だと思います)がいて、気を吐いているのですが、今日はそのおじいさんの周りを、三、四歳くらいの男の子が…
雪の中に顔を埋めて横たわっていたツァーヴェは、手と膝をついて起き上がった。そしてそのまま呆然と雪の上にぺたんと腰を降ろした。 雪は冷たくなかった。全く冷たくなかった。ツァーヴェは手で雪を掬って、手の中で握り締めた。雪は小さな球になった。だが…
年が明けてからは、都内をいろいろと歩いていた。 写真は、等々力渓谷。 等々力渓谷を訪れるのは二度目。 等々力渓谷は、二十三区内唯一の自然渓谷として有名だが、確かに喧騒の地上から、階段を下りて渓谷に入ると、まるで別世界に迷い込んだかのよう。 で…
夜の亀裂の向こうに 小さな街がある
あけましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。 今年は久々に東京で新年を迎えた。 朝から美しく晴れ上がっていて、出かけずにはいられない。 それで、江ノ島へ散歩がてら、初詣に出かけた。 祖母が亡くなったので、本来なら避けるべき…