2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

やみなべの陰謀

「やみなべの陰謀」 田中哲弥著 ハヤカワ文庫JA を読む。 嫌いじゃないけど、確かに笑ったけど、これは何と言っていいか。。。という小説。 一言で言えば、漫画ですね、文字で書かれた。とってもライトになった筒井康隆って感じです。 この著者は、明石在住…

桜

井の頭公園にて。昨夜。 千鳥が淵にて。今日。

七枚綴りの絵/最後の絵/日輪の城郭・24

種を蒔く作業は、翌日から開始した。前日に、肥料となる砕いた書物を、塔の側に大量に用意しておいた。それを大きな袋に詰めて持ち運んだ。種を埋める穴を掘り、種をそこに落とし込み、上から書物の残骸を被せ、さらにその上に土を掛けた。それを、書物十四…

七枚綴りの絵/最後の絵/日輪の城郭・23

男はそれきり口をつぐみ、姿は遠い陰画のように、平坦になって、背景と溶け合い始めた。 男の姿がすっかり消えてしまうと、部屋にはただ青い光だけが残った。 翌日から、塔での生活が始まった。 男に言われたように、私は一粒の種を窓から放り投げると、それ…

七枚綴りの絵/最後の絵/日輪の城郭・22

時間の旅? そうだ。 それは、どういう旅なのでしょうか。 為すべきことを為す旅だ、と男は言った。座標軸は固定されたのだから、為すべきことを為し、時が重なるのを待たねばならない。云わば、佇み続けるという旅だ。お前には出来るだろうか? 他に道がな…

泥の河

「泥の河」 小栗康平監督 1986年 東宝 を観る。 宮本輝のデビュー作の映画化作品であり、小栗監督の初監督作品でもある。 この作品は、モスクワ映画賞銀賞をはじめ、様々な賞を受賞している。 まだ戦争の爪あとが残る昭和三十年代の大阪を舞台にした作品。 …

七枚綴りの絵/最後の絵/日輪の城郭・21

人の気配は、果たして気のせいではなかった。部屋の中心に位置している机に向かい、項垂れるようにして椅子に座っている人影が見えた。部屋の中の色彩のせいだろうが、酷く青ざめた印象の、年老いた痩せた男だった。その男は、私が彼に眼差しを注いでいると…

七枚綴りの絵/最後の絵/日輪の城郭・20

どのくらいの時間階段を上り続けているのか、一段上がる毎にそれに比例して恐怖心も増してゆくという状態は、時間の感覚を麻痺させてしまう。私はただ上だけを見つめて、昇り続けた。 やがて終点がやってきた。階段を昇りきった時、私は円形の広間に立ってい…

葛西海浜公園にて

葛西海浜公園は、東京湾に面した人工の海岸線。 風の強い時が多く、 スポーツカイトの練習場にもなっている。 大潮の干潮時、 現れる砂浜はどこか汚らしいが、 見詰めていると、 時々、不思議な気分になる。 そのことについては、 上手く言えそうにない。

婦系図

昨日、 「婦系図」 三隅研次監督 1962年 大映 を観た。 「別れろ切れろは芸者の時に言う言葉……」で有名な、泉鏡花原作の物語の映画化作品。主演は市川雷蔵。 映像がどうだとかいうより、原作が良く出来ているというタイプの作品で、さすがに飽きない。尾崎紅…

カルメン故郷に帰る

カルメン故郷に帰る 木下恵介監督 1951年 松竹 を観る。 この映画は、好きです。 日本で初めてのカラー映画ということ。 同時に、極めて上質の人間喜劇。 以前、同監督の「喜びも悲しみも幾年月」を観たときも思ったけれど、日本の風景を、まるで外国のよう…

雨月物語

「雨月物語」 溝口健二監督 1953年 大映映画 を観る。 面白かった。 ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を受賞したというこの作品は、上田秋成の雨月物語から「蛇性の婬」と「浅茅が宿」をベースにしたもの。原作とは印象が違うけれど、映像も美しく、夜も遅い…

流れる

「流れる」 成瀬巳喜男監督 1956年 東宝映画 を観た。とてもよい映画だった。 最近、日本の昔の映画を、たまに観る。 ハリウッドの映画に食傷しているからかもしれない。 この映画は、芸者の置屋を舞台にした、幸田文の小説を映画化したもの。本当に良く出来…

七枚綴りの絵/最後の絵/日輪の城郭・19

銀色の塔は真下に立つと、天を刺しているかのように高く、鋭かった。見上げても、どれほどの高さか、容易には想像できない。塔の肌は、鈍い銀色で、そこにまるで血管のように、枯れて色を失った蔦のような文様が浮き出ていた。それは、装飾なのか、それとも…

七枚綴りの絵/最後の絵/日輪の城郭・18

桃色の月は、形が定かではなかった。確かに丸い形はしているのだが、震えるようにその輪郭が揺れていて、くっきりとした形を取ることがなかった。じっと見つめれば見つめるほど、その輪郭が曖昧に感じるのだった。 月は、そのようにして明確さを欠いたまま、…

三浦半島へ

昨日の日曜日は、今年初めて、三浦半島へ行った。 暖かく、風もない穏やかな一日。三浦海岸で河津桜を見た後(もう半ば葉桜になっていた)、バスで毘沙門へ。そこから、盗人狩を経由し、三崎港へ歩いた。 三崎の町では、裏通りの魚屋でサバの干物とタナゴを…